AIにはどのような種類があるのか
――「4つのレベル」と「弱いAI・強いAI」という二つの整理軸 ――
はじめに
「AI(人工知能)」という言葉は、ニュースや製品説明、さらにはSF作品の中でも広く使われています。その一方で、同じ「AI」という言葉が、異なる意味合いで使われていることも少なくありません。
生成AIパスポートの公式テキストでは、この混乱を避けるために、AIをいくつかの観点から整理して説明しています。本記事ではその中でも、以下の二つの分類軸を取り上げます。
- 技術的な仕組みに基づく「4つのレベル」
- 能力の範囲に着目した「弱いAI(ANI)・強いAI(AGI)」
どちらが正しい・優れているという話ではなく、「何を基準に分類しているのか」を区別することが、AIの現在地を理解する助けになります。
なぜAIの分類は分かりにくくなりやすいのか
AIの分類が難しく感じられる理由の一つは、以下の異なる視点が同じ「AI」という言葉で語られている点にあります。
- 技術の仕組み
- できることの範囲
- 将来像や理論上の概念
そのため、本記事では「仕組みの違い」と「能力の違い」は別の整理である、という前提を置いたうえで話を進めていきます。
AIを仕組みで整理する「4つのレベル」
まずは、AIを技術的な実装や学習方法の観点から、段階的に整理する考え方です。公式テキストでは、AIをレベル1からレベル4までに分けて説明しています。
レベル1:単純な制御プログラムとしてのAI
レベル1は、あらかじめ決められたルール(条件分岐)に従って動作する単純な制御プログラムです。「AI」と名乗っていても、学習機能などは持っていません。
【試験対策の具体例】
- AI搭載家電:室温に合わせて風量を調整するエアコン、食材に合わせて冷却する冷蔵庫など。
レベル2:ルールベースシステムとしてのAI
レベル2では、極めて多くのルール(知識)を人間が登録し、状況に応じた行動を選ばせる仕組みです。レベル1よりも複雑な推論が可能で、一見すると自分で考えているように見えます。
【試験対策の具体例】
- 従来のチャットボット:決まったパターンの質問に応答するシステム。
- 掃除ロボット:センサーで部屋の形状を把握して動くもの。
- IBM Watson:クイズ番組『Jeopardy!』で優勝した質問応答システム。
レベル3:機械学習を利用したAI
レベル3からは「機械学習」が導入されます。データから法則性を学習しますが、ここには重要な制約があります。
それは、「特徴量(データを判断するための着眼点)」を人間が設計しなければならないという点です。
例えば、「良いメロン」を見分けるAIを作る場合、「網目の細かさ」や「重さ」に注目すればよい、というヒント(特徴量)は人間が教える必要があります。
【試験対策の具体例】
- 検索エンジン:キーワードに関連する最適な結果を表示する仕組み。
レベル4:ディープラーニングを利用したAI
レベル4は、ディープラーニング(深層学習)を用いたAIです。
レベル3との決定的な違いは、「特徴量」そのものをAIが自力で発見・学習できる点にあります。
人間が「ここを見なさい」と教えなくても、AI自身が「どこに注目すれば判別できるか」を見つけ出すため、より複雑な認識が可能になります。
【試験対策の具体例】
- 自動運転:画像認識により、障害物や標識を瞬時に判断する技術。
- レベル3(機械学習):特徴量は人間が設計する。
- レベル4(ディープラーニング):特徴量をAI自身が学習する。
能力の範囲で整理する「弱いAI」と「強いAI」
ここまでの「4つのレベル」は、仕組みの違いに基づく分類でした。
一方で、AIは能力の範囲(汎用性があるかどうか)という観点からも分類されます。
弱いAI(ANI:Artificial Narrow Intelligence)
特定のタスクに特化して、人間並みの能力を発揮するAIです。
「弱い」という言葉は能力が低いという意味ではなく、「適用範囲が狭い(Narrow)」ことを指します。
【特徴と具体例】
- 現在実用化されているAIは、すべてこれに該当します。
- 例:メールのスパムフィルタ、スマートスピーカー、自動運転、囲碁・将棋AIなど。
強いAI(AGI:Artificial General Intelligence)
人間のように自意識を持ち、あらゆる知的タスクをこなせる汎用的なAIです。
未知の状況にも対応でき、想定外の課題も解決できる能力を持つとされます。
【特徴】
- 現時点では理論上のコンセプトであり、実在しません。
- SF映画に登場するような「人間のような知能」を指します。
ANIとAGIの整理表
| 観点 | 弱いAI(ANI) | 強いAI(AGI) |
|---|---|---|
| 正式名称 | 特化型AI (Artificial Narrow Intelligence) |
汎用AI (Artificial General Intelligence) |
| 能力の範囲 | 特定のタスクに限定 | あらゆるタスクに対応(汎用的) |
| 現在の状況 | 実用化済み(今のAI全て) | 未実現(理論上の概念) |
まとめ:二つの分類軸を分けて捉える
本記事では、AIの種類を次の二つの軸で整理しました。
- 仕組みによる整理:レベル1(制御)~レベル4(ディープラーニング)
- 能力による整理:弱いAI(特化型)と強いAI(汎用型)
現在私たちが利用しているAI(ChatGPTや自動運転など)は、技術的には「レベル4(ディープラーニング)」を利用していても、能力の観点では特定のタスクを行う「弱いAI(ANI)」に分類されます。
これらを混同せずに理解することで、「何が実現されていて、何がまだ理論段階なのか」を落ち着いて捉えられるようになります。
特に試験では、「レベル3と4の違い(特徴量の扱い)」や「ANIの具体例」が問われやすいため、重点的にチェックしておきましょう。

