第1章「AI(人工知能)」は、生成AIを理解するための“土台”の章
「生成AIパスポート(2026年版シラバス対応)」の中で、第1章は 基礎工事みたいな役割を担います。
この章で押さえるのは、「生成AIの使い方」そのものよりも、その前提になる
- AIってそもそも何?
- どうやって賢くなってきたの?
- 今どこまでできて、何ができないの?
- どういう歴史をたどってきたの?
という “AIの基本のき” です。
ここがわかると、第2章以降の生成AIの仕組みが「暗記」じゃなく「理解」になります。
1) AIって何? ロボットとどう違うの?
AIは、単なる「自動化」ではありません。
人間がやっている 学ぶ・考える・判断する・問題を解く といった知的な働きを、コンピュータで再現しようとする技術や研究分野のことです。
自律性(じりつせい)って?
自律性とは、
「決められた動きを繰り返す」だけではなく、状況を見て その場で選ぶ ことを目指す性質です。
- 自動化:決まった手順をひたすら実行
- AI:状況に応じて“それっぽい判断”をする方向へ進む
という違いがイメージしやすいです。
AIとロボットの違い
初心者が混乱しやすいポイントなので、ここはハッキリ整理します。
- AI=頭脳(ソフトウェア)
- ロボット=身体(ハードウェア)
ロボットの中にAIが入っていることはありますが、
AIそのものは“身体”を持っていません。
2) AIはどうやって賢くなる? ルールから「学習」へ
AIに知能っぽさを持たせる方法は、大きく2系統あります。
① ルールベース
人間が「もしAならB」とルールを全部書く方法です。
シンプルな作業には強いけれど、現実みたいに複雑だとルールが増えすぎて限界が来ます。
② 機械学習(マシンラーニング)
大量のデータを見せて、AIに 法則やパターンを見つけさせる 方法です。
人間が全部ルールを書かなくてもよくなるのがポイント。
その中でも中心になるのが、
ディープラーニング(深層学習)
人間の脳をヒントにした「ニューラルネットワーク」を何層にも重ねて学習させる方法です。
いまのAIブームや生成AIの飛躍は、この仕組みが核になっています。
過学習(オーバーフィッティング)って?
AIが勉強しすぎて「教科書の例題は完璧だけど、初見問題に弱い」状態になることです。
これを防ぐために、
- 正則化(学習しすぎを抑える工夫)
- ドロップアウト(一部のつながりを意図的に外して偏りを減らす工夫)
などの調整が重要だと説明されます。
3) AIは今どこまでできる?(弱いAIと強いAI)
この章では、AIを「できる範囲」で整理します。
弱いAI(ANI)
翻訳、画像認識、文章生成など、特定の作業に強いAI。
今、私たちが使っているAIは基本的にこのタイプです。
強いAI(AGI)
人間のように、いろんな知的作業を幅広くこなす 汎用AI。
これはまだ実現していない「目標」の段階です。
さらに、AIの賢さをレベル分けして、
- 単純な制御から
- ディープラーニングのように特徴を自分で見つける段階まで
段階的に理解できるよう整理されています。
4) AIの歴史:期待と停滞を繰り返して今に至る
AIは1956年の ダートマス会議をきっかけに研究が本格化しました。
ただし一直線に進化したわけではなく、
- 期待が高まる(ブーム)
- 思ったほどできず停滞する(AIの冬)
を繰り返してきました。
第1次・第2次ブーム
探索や推論、専門家の知識を詰め込む エキスパートシステム が中心でしたが、現実の複雑さに対応しきれませんでした。
第3次ブーム(現在)
ビッグデータ、GPUの進化、ディープラーニングによって、AIが一気に実用化されました。
シンギュラリティ(技術的特異点)
AIが自分で自分を改良し、人間の知能を根本的に超えるかもしれない、という考え方です。
「2045年頃」といった予測(いわゆる2045年問題)とともに紹介されます。
まとめ:第1章は「生成AIという建物の基礎工事」
第1章をたとえるなら、まさに
生成AIという巨大な建物を建てるための、地盤調査と基礎工事。
AIの定義、仕組みの進化、能力の限界、歴史を押さえておくと、
第2章以降の生成AIが「なぜそれっぽく話せるのか」「どこが弱点なのか」が見えるようになります。

